『ギルバート・グレイプ』
最近、『デッドマンズ・チェスト』のため目につくことが多いジョニー・デップ。今となっては公開から10年以上経った『ギルバート・グレイプ』を、なんとなく再び観た。
地方の寂れた町に住む青年ギルバートの役を、ジョニー・デップが演じている。彼の家族は、知的障害を持つ弟(レオナルド・ディカプリオ)と過食症で「陸に打ち上げられたクジラ」と同然な母(夫に地下室で首を吊られてから病んだ)、そして2人の姉妹。その家族の面倒を毎日見ながら、なんとか経営が成り立っている小さなデリに勤めている。
こう書くと、桐野夏生氏が多く出しているような救いがない、入り込んだ者を「よくある小説っぽさ」から徹底的に遠ざけてしまう極めて重い現実的な話かと思うかもしれない。けれどもこの映画は、祖母とトレーラーハウスで旅をしているベッキー(ジュリエット・ルイス)に出会うことにより、救いや未来がある話になっている。
出演者は今観ると皆若いが(当たり前)、演技のほうはしっかり磨かれているため、こちらの点からも安心して観ることができる。比較的最近ジョニー・デップ or レオナルド・ディカプリオファンになった人は、また別の魅力に気づくでしょう。